フリーランスにとって賃貸契約を巡る現状は厳しいと言われています。会社員に比べて収入が不安定な分、信用が低いためです。
しかし収入が十分あるのに審査で落ちたことを理由に諦めるのはもったいないですよね。フリーランスが賃貸契約の審査をクリアするにはちゃんとしたコツがあります。
今回はフリーランスの賃貸契約について、審査を通るコツや必要書類などに触れながらご紹介します。なお今回の記事は以下の人におすすめです。
- 十分収入があるのに賃貸契約の審査に落ちてばかりいるフリーランス
- 新しい賃貸物件を探しているフリーランス
- 家賃などを経費にできないかどうか悩んでいる人
Contents
フリーランスは賃貸契約が難しい理由
「フリーランスはアパートなどの賃貸が厳しい」という話を聞いたことのある人は多いでしょう。
独立してから多額のお金を稼いでいても厳しい状況に納得のいかない人もいますよね。
実はフリーランスが会社勤めより賃貸契約がしにくいのは、以下に挙げる3つの理由が主です。
収入が不安定なため
フリーランスの賃貸契約がハードルの高い最大の理由が、収入が不安定であるというものです。大家や管理会社は、家賃が毎月確実に入ってきてほしいと思っています。
そして会社員などの企業や役所で働く人は毎月決まった額の収入がある一方、フリーランスは収入が一定ではありません。
収入が安定していないと家賃を滞納されるリスクがあると感じやすいため、大家なども部屋を貸したくなくなります。
会社員に比べて信用が低いため
加えてフリーランスは会社員に比べると社会的信用が低いです。収入の不安定さとともに、フリーランスという働き方が近年ようやく注目されてきた背景があります。
社会で認知されるようになってきたとはいえ、年配の大家の中にはフリーターのように感じたり、正社員として仕事できなかった人と思ったりする人も多いです。
フリーランスに信用できないイメージがあるために賃貸契約に同意しないケースがあることも、厳しい現状の原因になっています。
一年目など開業期間が短い場合はなお厳しい
一年目など開業して間もないフリーランスにとっては、なおさら賃貸契約は厳しいです。数年程度事業を運営し収入が増えているのであれば、事業が順調である実績を証明できます。
しかし開業して間もないフリーランスの場合は売り上げなどで実績が多くない分、大家や管理会社からの信用も低めです。
収入も証明しにくく、家賃を安定的に払ってもらえないと思われるでしょう。フリーランスで賃貸契約を結ぶ際は、開業年数も1つの審査基準になることは知っておくべきです。
フリーランスが賃貸契約の審査を通過するポイントと必要書類
会社員よりも厳しめと言われるフリーランスの賃貸契約も、ポイントを押さえてさえいれば審査を通過して笑顔で結べます。
フリーランスが賃貸契約の審査を通るためのポイントや必要な書類は次の通りです。
安定した収入を証明する
収入の不安定さがネックになる以上、賃貸契約を結ぶ際に収入が安定している状態を証明するのは避けられない条件と言えます。
いわゆる収入証明書には様々な種類のものがあるものの、是非用意するべきなのは以下に挙げられる書類です。
住民税課税証明書
住民税課税証明書は最寄りの市区町村が発行する、1年間で発生している住民税の金額が書かれている書類です。なお住民税が発生していない場合は「非課税証明書」になります。
課税証明書には前年分の所得金額も一緒に記載されているため、所得の程度を証明する書類です。
名前がよく似たものに「住民税納税証明書」もあります。しかし滞納している場合の金額も書かれるため、安定した収入ときちんと納税している証明する場合に限られるでしょう。
もちろん非課税証明書も収入があまりにも少ない証明になるため逆効果です。
所得税納税証明書
税務署で発行してもらえる所得税納税証明書も、賃貸物件の審査で役立ちます。文字通り所得税の納税状況や所得金額を証明する書類です。
申請の際はインターネットで予め請求手続きして窓口で受け取るか郵送してもらう方法があります。時間を節約したい場合はインターネットでの請求がおすすめでしょう。
所得税納税証明書もあまりにも所得が低い場合や、所得税の滞納がある場合は注意が必要です。
確定申告書の控え
大家や管理会社によっては所得税納税証明書の代わりに確定申告書の控えを証明書類としても良い場合もあります。
確定申告書の控えには所得と控除、課税金額が書かれている一方、納税額や滞納額まで気にする必要はありません。
控えは必ず受付印が押してある状態で用意します。もしe-tax経由で申告している場合は、受信通知を準備するのがおすすめです。
なお確定申告については白色申告より青色申告してある方が信用が増します。青色申告は複雑な記載形式である分、しっかり事業運営している証明になるためです。
貯蓄をアピール
上記の証明書以外にも、貯蓄をアピールできるように預金通帳の写しを持ってくると良いでしょう。
不安定さで貯金できないために、家賃をきちんと払ってもらえない不安を取り除くにはうってつけです。
預金通帳を持ってくる際は現在の残高が記されているページの写しを選びます。しっかりした額の残高で収入や家賃の支払いなど問題ないと証明できれば、成約率が高まるためです。
なお一年目のフリーランスの場合は、家賃の入金履歴を示せば証明になることがあります。
勤務先や職業もきちんと書く
賃貸契約の申込書を書く際、勤務先や職業の欄を記入するのが一般的です。書く際には勤務先や職業はきちんと書きます。
勤務先の場合は開業届や確定申告で届け出ているものを書くのがおすすめです。勤続年数は開業からの年数を書くと良いでしょう。
また職業については、「フリーランス」ではなく「自営業者」や、ライターなど詳しい職種を書くべきです。
大家の中にはフリーランスへの理解がない人もいるため、「フリーランス」を避ける方が説明しやすくなります。
清潔さと誠実さを示す
収入などを証明する以外にも、清潔さや誠実さをアピールすることも大切です。
会社員に比べて信用の面でハンデがある以上、外見や態度にも気を配って少しでも信用を高めるようにします。
外見面では清潔で常識的な服装がおすすめです。スーツを着る必要はなく、私服でもできるだけきれいなものや派手さのないものを着用します。
態度面でもクライアントと話すように丁寧な言葉や紳士的な振る舞いを心掛けると良いでしょう。また打ち合わせや物件の内覧の際は時間を守るべきです。
連帯保証人や保証会社も不可欠
賃貸契約の際は、必ず連帯保証人を立てるか保証会社を利用します。連帯保証人は親や祖父母など2親等以内の親族がなるのが一般的です。
なお連帯保証人も会社員など安定した職業に就いている方が信頼されます。
もし連帯保証人を立てるのが難しい場合は保証会社を利用するのがおすすめです。保証会社でも審査を受け、通過すれば保証を代行してもらえます。
クレジットカードなどの滞納歴を作らない
賃貸契約を結ぶ際、クレジットカードなどの滞納歴があると成約率が大幅に低いです。
クレジットカードや携帯電話の契約も信用に基づくものであるため、過去に滞納していると家賃を平気で滞納する印象を与えてしまいます。
保証会社でクレジットカードを扱うところは信用情報を他社と共有しているため、滞納歴があれば審査に落ちる可能性が高いです。
以上の理由から極力滞納歴を作らないようにします。なお滞納歴は長く残るため、覚えがある場合はクレジットカードを扱っていない保証会社を探すと良いでしょう。
賃貸の審査に落ちた場合に取れる方法5つ
賃貸の審査に落ちた場合でも諦めることなく契約する方法は残されています。審査に落ちた際に取れる方法は以下の5つです。
希望の家賃を見直してみる
まず希望する家賃の条件を見直してみます。フリーランスの場合、賃貸契約の審査が通過しやすい家賃の条件は、月収の20~25%であるためです。
仮に月収が25万円の場合であれば、最大でも5~6万円の物件ということになります。あまり高望みせず、身の丈に合う物件を申し込むのがおすすめです。
審査が通りやすい大家や管理会社の物件を探す
また審査が通りやすい大家や管理会社の物件を探す方法もあります。
フリーランスに理解のある大家や管理会社の場合は、フリーランスに好意的でもあるために比較的審査が通りやすいです。
なお検討している物件が分譲マンションにある場合は、部屋により大家が異なります。最初に申し込んだ部屋で契約に至らなくても別の部屋に申し込んでみるのが良いです。
UR物件を検討
UR(都市再生機構)が管理する物件に申し込むのもおすすめの方法に数えられます。URの物件は審査の際に所得だけが基準になるためです。
具体的には単身者であれば月収25万円以上が基準になります。なお家賃の100倍の貯金がある場合も審査が通る対象です。
UR物件は月収や貯金の問題をクリアすれば入居できるため、月収や貯金が多い人は検討すると良いでしょう。
フリーランス向け与信サービスを利用
フリーランス向けの与信サービスを使う方法もあります。
賃貸物件を探しているフリーランスに収入に応じた家賃枠を提示し、枠内の物件であればほぼ確実に借りられるサービスです。
代表的なサービスがリース株式会社の「smeta(スメタ)」で、フリーランス以外にも外国人や高齢者も利用できます。
なおランサーズなどのクラウドソーシングサービスやエージェントからでも利用可能です。
3年目以降に再検討する
開業して間もない場合は、3年目以降に再検討する方法もあります。キャリアの長いフリーランスに比べて2年目までの場合は、フリーランスでもかなり信用が低いためです。
しかし3年目以降になればある程度事業が継続している理由で信用が高まります。3年目を迎えたところで再交渉するのも1つの手です。
なお3年目を迎えるまでに業績を増やすか維持することも重要な条件になります。
賃貸物件は自宅兼事務所にできるのか
借りた物件を自分の仕事場や事務所として役立てたいフリーランスも多いでしょう。実際に自宅兼事務所にできるのでしょうか。
実は賃貸物件を自宅兼事務所にすることはできるケースはあるものの、高いハードルが存在します。
基本的には難しい
まず借りた物件を自宅兼事務所にするのは基本的に難しいです。多くの賃貸物件では契約書に事務所としての使用を禁止する規定が明記されています。
もし事務所にした場合、大家からすれば来客の多さで部屋が汚れるなどして資産価値が目減りするリスクが大きいです。また事務所にすることで不動産向けの消費税も発生します。
以上のような理由があるために、借りた部屋を事務所扱いすることは難しいです。
事務所にしたい場合は大家などに事前に相談する
何としても税務署に事務所として届け出たい場合は、事前に大家などと相談するのが無難でしょう。大家などによっては、事務所として届け出ることを承諾する場合もあります。
逆に大家などに相談することなく事務所として届け出るのは避けるべきです。発覚した場合は、賃貸契約違反で退去させられる場合もあるでしょう。
加えて自宅兼事務所が欲しい場合は、「事務所可」の物件やシェアハウスなどへの入居がおすすめです。
開業届に記載しない場合は問題ない
一方で開業届に賃貸物件を事務所として記載せず、ただの仕事場として使う場合は問題ありません。公的に事務所ではない以上、消費税が発生するようなことはないためです。
ただし自宅兼仕事場にする場合は、部屋を著しく改変しないことが条件となります。たとえ仕事場でも大きく改変すれば契約に関わる問題になるでしょう。

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賃貸物件の家賃は経費にできるのか
部屋を借りる際、毎月払う家賃を経費にできれば良いと思う時がありますよね。実はやり方次第で家賃を経費にすることは可能です。
家事按分で一部経費にできる
家賃を経費化するには家事按分の考え方が重要になります。自宅で仕事している場合、部屋の家賃の一部を経費にできるというものです。
経費にする割合は、部屋の広さや1日に作業する時間などを基本に決めます。例えば1日のうち部屋で8時間作業するため、家賃の3割を経費にするなどのやり方です。
なお割合を決める際は、誰にでも納得のいく説明ができるようにしておくことが重要になります。
水道光熱費もOK
家事按分は家賃以外にも水道光熱費や通信費にも適用されるものです。上記のように家賃の3割を経費にするのであれば、電気代やインターネット料金の3割も経費化できます。
なお家賃などを家事按分で経費にする場合は、領収書もしっかり残すことがポイントです。

フリーランスにおすすめなのは賃貸か持ち家か
フリーランスにとっても家を決める際に賃貸か持ち家かはよく話題になります。
もし住宅ローンの利用が難しい場合や資金面で厳しい場合は賃貸が良いでしょう。旅しながらフリーランス活動したい場合も賃貸の方がおすすめです。
一方特定の土地にずっと住みたい場合や自宅兼事務所を持ちたい場合は持ち家が良いでしょう。引っ越しの手間がかからず、将来的に住居費も圧縮できます。
ただ賃貸も持ち家も長所と短所の両方があるため、最終的には価値観によって決めると良いです。
まとめ
今回はフリーランスの賃貸契約について審査を通るコツを中心に見てきました。
フリーランスは会社員に比べると信用が低いため、収入や事業が安定していることや人格で問題ないことを証明するのがポイントです。
このように本メディアではフリーランスの仕事に関連する情報を発信しています。
