ふるさと納税は好きな自治体に寄付する代わりに、地域の特産品をお礼品として受け取れる制度です。
そしてふるさと納税は、フリーランスにとっても様々なメリットがあります。メリットを有効活用すれば節税や珍しい経験もできるでしょう。
今回はフリーランスにとってのふるさと納税のメリットを控除上限額の計算方法などとともにご紹介します。なお今回の記事は以下のような人におすすめです。
- 節税を心掛けたいフリーランス
- ふるさと納税について詳しく知りたい人
- ふるさと納税をお得に活用したい人
Contents
ふるさと納税とは
ニュースなどで耳にするふるさと納税がフリーランスにとっても役立つと聞くと驚きますよね。フリーランスにとってのメリットに触れるには、まずふるさと納税の理解が大切です。
好きな自治体に納税できる制度
ふるさと納税は住民票を登録している地域以外であれば、好きな自治体に寄付できる制度です。生まれ育った地域でも思い入れのある場所でも応援できます。
しかも寄付の際にお礼品を選べるため、お金に余裕があれば全国各地の特産品を多く集めることも可能です。勿論お礼品を選ぶことなく純粋に寄付だけをする選択もできます。
節税効果も見込める
ふるさと納税では節税効果も見込めます。寄付した金額は寄付金控除として申告できるためです。確定申告の際に寄付金控除で申告すれば所得税や住民税も減額できます。
もし控除として申告すれば、所得税であれば還付金を増やせる可能性があるでしょう。また住民税についても納税額が下がるため、住民税の高さで苦労している人にはおすすめです。
フリーランスがふるさと納税するメリット4点
ふるさと納税はフリーランスにとっても様々なメリットがあります。メリットとして挙げられるのが、返礼品がもらえる点や寄付金控除を申告できる点などの4つです。
寄付した自治体から返礼品がもらえる
フリーランスがふるさと納税で寄付するメリットとして、まず寄付した自治体から返礼品がもらえる点があります。内容は地域で生産された米などの食べ物や工芸品などです。
中には宿泊券や体験チケットのような変わり種のお礼品を用意している自治体もあります。地域にしかないお礼品を通じて特別な経験ができる点でおすすめです。
寄付金控除を申告できる
また寄付した分を寄付金控除として申告できるのもメリットと言えます。具体的には寄付金額から2,000円を引いた金額が、税金の計算で控除として扱われる仕組みです。
例えば2万円寄付した場合は、2,000円を引いた1万8,000円が控除される金額になります。なお差し引く2,000円がもらえる返礼品に相当する金額です。
寄付した分が税金の控除と返礼品との引き換えになる点でもメリットは大きいでしょう。
ちなみに控除の金額には上限額があるため、事前に計算して上限を超えなければ自己負担を2,000円に保てます。
寄付先の自治体を支援できる
メリットの3番目が、寄付先の自治体を支援できる点です。生まれ育った地域に恩返ししたい場合や、関わりはないが好きな地域を応援したい場合に寄付という形で援助できます。
寄付するお金の使い道を指定できる自治体がある点も魅力です。寄付を通じて海の美化活動や文化財の保護活動など、地域ならではの課題に貢献できます。
確定申告に慣れていれば始めやすい
最後に確定申告に慣れていれば始めやすい点もメリットです。前もって確定申告に慣れておけば寄付金控除を書く欄もすぐわかる分、スムーズに申告できます。
特に会計ソフトを使った申告を経験した後であれば、寄付した自治体名と寄付金額を入力するだけと簡単です。確定申告に慣れていればふるさと納税も抵抗なく始められるでしょう。
フリーランスがふるさと納税するデメリット4点
ふるさと納税はフリーランスにとってメリットが多い反面、デメリットもあります。主なものが控除上限額の計算が難しい点や、前払いで納税する仕組みである点などです。
控除上限額の計算が難しい
フリーランスにとってのふるさと納税のデメリットに、まず控除上限額の計算が難しい点があります。後述の寄付金控除上限額の計算式が非常にややこしいためです。
加えてふるさとチョイスなど専用サイトにあるシミュレーションも給与所得者向けのものになっています。フリーランスにとって控除上限額の計算はハードルに感じられる点です。
前払いで納税することになる
また前払いで寄付する点もデメリットになっています。寄付金控除を受けられるのが、確定申告やワンストップ特例の締め切り後になるためです。
前払いである分、控除を受けるまでは一時的にお金が無くなることになります。高額の寄付をした後でお金不足で苦しむケースもあるために注意が必要です。
ワンストップ特例制度が利用できない
さらにフリーランスはワンストップ特例制度を利用できない点もデメリットと言えます。ワンストップ特例制度は、確定申告の対象にならない給与所得者だけが利用できるためです。
つまり会社からの給料だけが収入である場合のみ、寄付した自治体に申請するだけで自動的に住民税が減額されます。しかしフリーランスの場合は副業でも利用できない仕組みです。
生命保険料控除などで控除上限額が低くなるケースも
最後に生命保険料控除や住宅ローン控除もある場合は控除上限額が低くなるケースがあります。ふるさと納税など寄付金控除も生命保険料控除と同じ所得控除であるためです。
所得控除は税金の対象になる所得から差し引きます。もし生命保険料控除額があまりに大きいと、寄付金から差し引く金額が2,000円を超え自己負担額が普段以上に多くなります。
ふるさと納税での自己負担が2000円を超えないようにするには、生命保険料控除など他の所得控除額を前もってチェックすることも大切です。
フリーランスのふるさと納税での控除上限額を計算する方法
フリーランスがふるさと納税を上手に活用するには、寄付する前の控除上限額の計算が欠かせません。控除上限額の計算は以下のような方法で行います。
計算に必要な書類を準備する
控除上限額を計算するには、まず前年分の確定申告書の控えと住民税決定通知書を用意します。計算の際、両方の書類に書かれている数字をチェックする必要があるためです。
チェックする項目は、確定申告書の控えでは「課税所得金額」、住民税決定通知書では「住民税所得割額」になります。実際に見ないと把握できないため、両方の書類が必要です。
計算式を使う
書類をチェックしたら、計算式を使って控除上限額を算出します。計算に使う式は以下の表に書かれている通りです。
課税金額 | 計算式 |
---|---|
~195万円 | 住民税所得割額×23.559%+2,000 |
195万円超~330万円 | 住民税所得割額×25.006%+2,000 |
330万円超~695万円 | 住民税所得割額×28.774%+2,000 |
695万円超~900万円 | 住民税所得割額×30.068%+2,000 |
900万円超~1,800万円 | 住民税所得割額×35.520%+2,000 |
1,800万円超~4,000万円 | 住民税所得割額×40.683%+2,000 |
4,000万円~ | 住民税所得割額×35.398%+2,000 |
最初に確定申告書で課税所得金額を確認してから、住民税所得割額を代入する形で計算するとスムーズに算出できます。
フリーランス向けのシミュレーションサイトもある
最近ではフリーランス向けのシミュレーションサイトもあるため、計算式を使わずに急いで上限額を把握したい場合におすすめです。
基本的に確定申告書の控えがあれば計算できるようになっています。所得金額と各種控除の金額を入力するだけです。
フリーランスがふるさと納税する際の流れ
フリーランスが実際にふるさと納税するには、流れを掴んでおくと簡単に寄付できます。主な流れは以下の通りです。
寄付する自治体や利用するサイトを選ぶ
最初のステップが、寄付する自治体や利用するサイトを選ぶことです。サイトについてはふるさとチョイスやさとふる、楽天ふるさと納税などから選びます。
初めて寄付する場合は、ふるさとチョイスがおすすめです。同サイトではふるさと納税に参加している自治体全てから選べます。
利用するサイトを決めたら、各サイトの検索欄から寄付先の自治体と返礼品を選べば準備完了です。
寄付の方法
いよいよ実際に自治体への寄付を行います。寄付をする主な方法は、以下に挙げられる4通りです。自分に合った方法を選ぶと良いでしょう。
クレジットカード払い
最初にご紹介するのがクレジットカード払いです。手続きが手早く済む点とポイントが多く貯まる点がメリットになっています。
一方で自治体によってカード払いに対応していないところもある点に注意が必要です。カードで寄付する際は対応しているかどうか確認するべきでしょう。
携帯電話料金と一緒に払う
また携帯電話料金と一緒に寄付する方法もあります。毎月の携帯料金を支払うタイミングで一緒に請求されるため、実質後払いにできるのがメリットです。
対応しているのは、NTTドコモとau、ソフトバンクの大手3社になっています。なお携帯料金の滞納がある場合は利用できません。
ネットバンク払い
3番目の方法がネットバンク払いです。ふるさと納税では400以上の金融機関を使って決済できるため、カード払いなどに抵抗がある人におすすめでしょう。
寄付申し込みの際にネットバンク払いを申し込むリンクからアクセスし、金融機関を選ぶことで利用できます。
コンビニ決済
最後がコンビニ決済です。ローソンのLoppiやファミリーマートのFamiポートのような専用端末を操作し、レジで寄付する分のお金を支払います。
コンビニに行くついでに払える点で便利です。一方で利用できるチェーンのお店がない地域の場合は、別の方法を使った方が良いでしょう。
寄付金受領証明書と返礼品を受け取る
上記の方法で寄付すると、自治体から寄付金受領証明書と返礼品を受け取ります。寄付金受領証明書が届く目安は自治体によって異なり、最速で寄付完了から1週間以内です。
また返礼品も寄付後1ヶ月から2ヶ月が届く目安になっています。なお寄付金受領証明書は確定申告で必要となるため、届いたら大切に保管するべきです。
確定申告で寄付金控除として申告
最後に確定申告の時期になったら、寄付金控除として申告します。第一表と第二表にある所定の項目に記入する方法です。なお第二表では自治体名も記入します。
確定申告では添付書類に寄付金受領証明書を貼り付ける点も重要です。なおe-taxでの申告の場合は、寄付金受領証明書を添付せずに申告できます。
フリーランスはふるさと納税の寄付を経費にできる?
なるべく節税しておきたいフリーランスにとっては、ふるさと納税の寄付も経費にできるのか気になりますよね。実はふるさと納税の寄付も経費で申告が可能です。
特に事業用の口座を使って寄付する場合は、「事業主貸」として経費入力します。貸方の仕訳には自治体名も記入するのが一般的です。
ただし寄付金控除にも記入すると二重経費になるため注意します。

まとめ
今回はフリーランスがふるさと納税で寄付するメリットを、控除上限額の計算方法にも触れながら見てきました。
寄付した分を確定申告で寄付金控除で申告できる点や、お礼品をもらえる点などがメリットに挙げられます。一方でワンストップ特例制度を活用できないなどの点に注意すべきです。
また事前に控除上限額を計算する必要があります。前年の確定申告書や住民税決定通知書で必要なデータを確認しながら計算すると算出しやすいです。
実際に寄付する際は、利用する専用サイトや寄付する自治体を選んでからクレジットカードなどで入金します。確定申告の際には寄付金受領証明書が欠かせません。
フリーランスにとってふるさと納税にはメリットとデメリットの両方があります。上手に活用して、節税や地域への貢献を行うと良いでしょう。